書籍の出版と、新たな一歩を記念して ー書籍出版記念パーティイベントレポート

2024年11月30日、茅場町・東京証券会館1階の「Cafe Salvador Business Salon」にて、書籍『未来をつくる事業承継』の出版を記念したパーティが開催されました。事業承継やイノベーションに携わる専門家、経営者、支援者など、総勢100名近くの方々が集い、著者のスピーチやトークセッションを通して、これからの「K字回復型事業承継」の可能性を分かち合う貴重なひとときとなりました。

「本に込めた思い」を語る──著者挨拶より

金子智彦(株式会社ストラクチャー代表取締役/一般社団法人イグジットプランナー協会)
金子智彦(株式会社ストラクチャー代表取締役/一般社団法人イグジットプランナー協会)
出版を記念して、共著者である金子智彦(株式会社ストラクチャー代表取締役/一般社団法人イグジットプランナー協会)と権成俊(株式会社ゴンウェブイノベーションズ代表取締役/一般社団法人デジタル経営革新協会)が挨拶。
金子からは、書籍の制作に至るまでの1年間のプロセスと、多くの方の協力によって生まれた本であることへの感謝が語られました。「今の日本で、本当に必要とされる事業承継とは何か」を問い直し続けた日々を振り返りつつ、「この本が、次の一歩を踏み出す後押しになれば」と語りました。
 
権成俊さん(株式会社ゴンウェブイノベーションズ代表取締役/一般社団法人デジタル経営革新協会)
権成俊さん(株式会社ゴンウェブイノベーションズ代表取締役/一般社団法人デジタル経営革新協会)
一方、権さんからは「私はもともと事業承継の専門家ではない」と前置きしながらも、長年にわたり中小企業のイノベーション支援を行ってきた立場から、「今の時代、事業承継とイノベーションは切っても切り離せない」と指摘。多様な専門家の連携による新しい支援の形の必要性を、力強く提案しました。
 

来賓スピーチに見る、現場からのリアルな声

山口哲史さん(社会福祉法人ちとせ交友会 理事長/東京都倫理法人会 会長)
山口哲史さん(社会福祉法人ちとせ交友会 理事長/東京都倫理法人会 会長)
乾杯の発声を務めた山口哲史さん(社会福祉法人ちとせ交友会 理事長/東京都倫理法人会 会長)は、保育・福祉事業を多数運営される立場から、金子さんによる支援で幼稚園の承継が実現したエピソードを紹介。「本の中に書かれていることが、現場で実際に起きている」とし、これからの事業承継において本書が担う役割への期待を語りました。
 
吉村正裕さん(株式会社サイバーアシスト代表取締役社長/吉村酒造6代目)
吉村正裕さん(株式会社サイバーアシスト代表取締役社長/吉村酒造6代目)
吉村正裕さん(株式会社サイバーアシスト代表取締役社長/吉村酒造6代目)は、事業承継を支援する専門家としての視点に加え、老舗企業の経営者としての実体験も踏まえ、「事業承継の現場では、株や制度だけではなく、“親子の対話”が決定的に重要だ」と強調。本書がその視点を正面から扱っている点に深く共感していると述べました。
 
池上重輔さん(早稲田大学ビジネススクール教授)
池上重輔さん(早稲田大学ビジネススクール教授)
池上重輔さん(早稲田大学ビジネススクール教授)は、今後の事業承継に影響を及ぼすであろう少子化・人口減少や、国際政治の変動などを背景に、「“残す”だけではなく、“進化させる”事業承継こそが求められている」と提言。早稲田大学でも事業承継に関する取り組みを行っている立場から、本書がその一助になることへの期待を述べました。
 
上澤祐基さん(株式会社上澤梅太郎商店 取締役)
上澤祐基さん(株式会社上澤梅太郎商店 取締役)
また、上澤祐基さん(株式会社上澤梅太郎商店 取締役)は、自社が震災を機に直面した経営危機をどう乗り越えたかを紹介。観光需要の減退を受けて、商品を“漬物”から“和食文化”へと再定義し、ライフスタイル提案型のビジネスへと展開した体験を語りました。そこには、ゴンウェブの支援によるコンセプトづくりとデザインの力があり、「見えない価値を活かした変革」という本書のテーマに深く通じる内容でした。
 

出会いと構想ーK字回復型事業承継が生まれるまで

左から田中さん、金子、権さん、小芝さん
左から田中さん、金子、権さん、小芝さん
続いて行われたトークセッションでは、本書の編集を務めた小芝綾子さん(小道舎)を交え、著者2名との共著に至るまでの経緯が語られました。きっかけは、画家・田中芙弥佳さんを通じた偶然の出会い。その後、対話を重ねる中で互いの支援スタイルに共感が生まれ、「事業承継とイノベーションの両立」というテーマが輪郭を帯びていったといいます。
金子さんは、様々な経営者や事業承継に関わる支援者の方と対話を重ねる中で感じた課題として、「見えない価値をどう継ぐか」が抜け落ちている現状を挙げました。その課題意識に応えるべく、両者が培ってきた支援の知見を掛け合わせた結果、生まれたのが「K字回復型事業承継」というコンセプトです。
K字回復型事業承継の事業構想資料、イノベーションによって事業承継の課題を解決する
K字回復型事業承継の事業構想資料、イノベーションによって事業承継の課題を解決する
この構想は、企業の中に眠る「根っこ」の価値を見極め、それを活かしてV字回復を超える持続的な成長を目指すアプローチ。事業承継と同時にリノベーションを進めることで、経営の本質を進化させる仕組みです。
 
また、当日は、本書の構想段階で市場調査として実施した座談会にご参加いただいた経営者・支援者の方々とも、約1年ぶりに再会することができました。座談会では、現場の生の声に触れ、大きな気づきと学びを得ることができたことが、本書の核となっています。
久しぶりの再会を喜び合いながら、会場にはあたたかな交流の空気が流れていました。
 

編集後記

この出版記念パーティーは、書籍を通じて生まれた新たな出会いや、これまでオンラインや取材などで関わってきた方々と、直接顔を合わせて語り合える、かけがえのないひとときとなりました。
事業承継というと堅いテーマに聞こえるかもしれませんが、会場では驚くほど多様な背景を持つ方が、それぞれの立場で共感し、意見を交わしてくださいました。あらためて、事業承継は「誰か一人の問題」ではなく、世代や立場を超えて取り組むべきテーマだと実感しています。
会場に来てくださった皆さま、ご協力いただいた皆さま、本当にありがとうございました。これからも、事業の価値を未来へつなぐ挑戦を、一緒に進めていけたら嬉しいです。
 
書籍を読んでくださった方へ
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