「家族動機」と「個人動機」が交錯するファミリー企業の事業承継。成功の鍵は共通のビジョン
経営者の「家族動機」と「個人動機」は、ファミリー企業の経営において重要な役割を果たします。「家族動機」は、家族の繁栄や次世代への資産・価値観の継承といった集団的な目標に根ざし、一方「個人動機」は、経営者個人のキャリアビジョンや自己実現といった個別の目標に基づくものです。
事業承継において、これら二つの動機は時に補完的に働き、時に衝突します。例えば、現社長が家族の伝統や会社の理念を次世代に引き継ぐことを重視する一方で、後継者が自らのビジョンや新しいアイデアを実現したいと考える場合、方向性の不一致が課題となり得ます。この衝突を解消する鍵は、「家族」あるいは「創業一族」としての価値観を尊重しつつ、後継者の「個人」としての志を理解し、両者が納得できるビジョンを共創することです。
また、家族企業では、事業承継が単なる資産の移転にとどまらず、目に見えない資産――創業者の理念や家族の結束――の継承が求められます。このプロセスにおいて、家族内の対話や共通の目標の明確化が不可欠です。家族の一員としての責任感と個人としての夢をどう融合させるかが、事業承継成功の鍵と言えるでしょう。
家族動機と個人動機を調和させることで、持続可能で革新的なファミリー企業を築く道が開かれるのです。