サービスの背景
事業承継の課題
従来の事業承継は、会社の価値を高めて売却する方法や節税対策、次世代への株式の譲渡など、目に見える価値の引き継ぎだけにとどまることがが多く、士業や金融機関がメインとなって行われているケースがほとんどです。それでも、事業承継にかかわる領域は多岐にわたり、したがって様々な専門家が関わります。
専門家 | 主な役割 |
---|---|
税理士 | 税務アドバイス、財務計画、相続対策、企業評価、資産移転 |
弁護士 | 法的アドバイス、契約書の作成、紛争解決、税務計画、企業構造の再編 |
中小企業診断士 | 経営診断、戦略策定、後継者育成、資金計画支援、組織再編 |
M&A代理店 | 企業価値評価、交渉支援、マッチング支援、デューデリジェンス、法的手続きのサポート |
事業承継 コンサルタント | 現状分析と診断、戦略策定、後継者育成、財務・税務対策、法務サポート、コミュニケーション支援 |
銀行 | 資金調達サポート、財務アドバイス、事業評価、税務対策、信託サービス |
日本政府も事業承継に大きな関心を寄せています。中小企業庁は2025年までに70歳を超える中小企業経営者が約245万人に達し、そのうち半数以上は後継者が未定と言われています。たとえ黒字経営だとしても廃業の道を進むため、約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われる可能性があるといわれており、日本政府は事業承継税制などの優遇措置や、第三者承継を支援する政策を展開しました。
しかし本来、もっとも重要なことは、経営理念や技術、ノウハウ、企業文化など、事業が培ってきた価値をしっかりと次の世代に引き継ぐことにあります。単に株式や資産を譲渡するだけは事業承継は不十分なのです。
なぜなら中小企業は、貴重な技術やノウハウを持っています。例えば伝統工芸が良い例です。そしてサプライチェーンを支える重要な役割も担っています。さらに地域に根差した事業を営んでいるため、地域経済にも影響を及ぼします。これらが失われてしまうと、日本企業にとっても大きな損失となります。
本当に必要なのは事業のV字回復支援
ただ、従来の事業をそのまま引き継いでも事業は衰退していってしまうかもしれません。「何を変えないのか」に注目し、さらに現代には欠かせないインターネットを活用したイノベーションを考えていく必要があります。
後継者候補が求めているのは「会社の成長」
そもそも、後継者候補は何を求めているのでしょか。株式や財務のことを気にしてはいるものの、後継者が一番求めているものは「会社の成長」のようです。そのためには、デジタル社会への対応、業界の変化に対する対応が必要です。培ってきた見えない資産を、現代のニーズに合わせて、改めて価値あるものに変える必要があります。
しかし、どうやればよいのかがわからない。だから、それを支援する専門家、サービスが必要だと考えました。具体的には、自社の歴史や文化、そのほか目に見えない経営資源を改めて深掘りし、その中からいまの市場環境で価値を生み出せる経営資源を発見することです。そして、それが行かせる新しい市場ニーズを発見することです。
事業の成長を前提として事業承継を
事業の成長を前提とした事業承継でなければ後継者も不安が拭えません。時代の変化が緩やかだった時代は、事業をほとんど変えなくてもスムーズに承継することができたかもしれませんが、社会の変化の激しさについていくには、現在の事業の7割は思い切って変えるくらいの覚悟が必要です。変化の激しい現代社会において、再度必要とされる企業に生まれ変わるために、事業を大きく変える必要性があるのです。
ただし、見えない経営資源の中で、価値を生む源泉となる本当に大事な根っこは引き継ぐ。この根っこの部分を起点にイノベーションを起こし、事業を成長させていきいます。経営者が交代するタイミングは、後継者が今までの常識に捉われない発想を持っているため、イノベーションを生み出すにも絶好の機会なのです。
K字回復型 事業承継
イノベーション思考の事業承継支援事業者も増えていますが、その多くは本来持っている事業の強みを生かすというより、後継者の新しい発想を重視しています。しかし、私たちの経験からすれば、従来の強みを活かすことなく全く新しい事業を立ち上げることは大きなリスクを伴います。 新しい土壌に新しい種を撒き、新たに花を咲かせることはとても大変なことです。根っこを根こそぎ取り去ってしまうのではなく、根を活かして花を咲かせる。 培ってきた事業の価値を引継ぎ、時代に合わせて革新し、V字回復させる。これをK字回復型事業承継と名付けました。
K字回復型 事業承継対話
K字回復型事業承継を成功させるには、後継者とじっくり話合うことが大切なポイントです。何を変え、何を変えないのか。大切なことは目に見えないし言葉にできていないことが多いものです。そのため、言葉を重ねて議論をすることが不可欠です。対話をすることで、後継者は先代の想いを受け取り、企業がその本質を失うことなく、時代に適応して成長することができます。また一緒に事業の成長について話し合い、想いをを確かめ合うことで、後継者の意欲を高めることができるのです。
良くあるのが、先代の急な引退や急逝によって何も分からず家業を引き継いでしまい、未経験の業界で知識ゼロから会社を始めなければならなかったケースです。少しでも事前に話し合いができていれば、よりスムーズな事業承継ができたかもしれません。
より良い事業承継を行うためには、対話は必要不可欠なのです。K字回復型事業承継対話は、円滑な対話が進められるよう、サポートをいたします。
市場成長曲線で現在地を把握する
現在自分の会社が、市場成長曲線のどの位置にいるのか確認するのも重要なことです。市場成長曲線とは、どの業界でも見られる市場規模の推移を表したもので、導入期、成長期、成熟期、衰退期の4段階に分けられれ、下記のような特徴がみられます。
- 導入期…売上が少なく、広告コストが高い。利益は赤字。
- 成長期…徐々に認知度が上がる。売上急上昇。広告のコスパが良い。競合他社参入。黒字化。
- 成熟期…競合増加。一社当たりの売上減少。差別化戦略、価格競争からの脱却。
- 衰退期…市場の成長が止まる。売り上げと利益が減少。イノベーション

実は事業承継をしようという企業の多くは、成熟期、衰退期に入っているケースが多く見受けられます。成熟期であれば差別化戦略が求められ、価格競争から脱却することが必要です。また、衰退期に入っているのなら、新しい価値を提供し、競合の少ない事業へと移行させることが必要となってきます。
結論として、企業が事業を成長させるには、市場成長曲線の成長期や成熟期に焦点を当て、その市場に早期参入することが重要です。また衰退期にはイノベーションを通じて新たな成長機会を見つけることです。適切なタイミングで戦略的な意思決定を行うことが、長期的な成功への鍵となります。